最近の脳認知科学では、能力を6つの領域に分けて考えています。
<運動能力(指先の調整能力)><図形形態認識能力><空間位置把握能力><数論理能力><言語能力>
<社会性>が、その6つです。
幼児期においては、特に指先の調整能力の育成を怠るわけにはいきません。しかし、その能力は4~6才のうちに完成されるものなので、それと社会性をのぞく他の4つが、つまり、<図形><空間><数論理><言語>の4つの能力が育成の中心となります。
これらをまとめて思考力と呼ぶことにします。思考力は後天的なものなので、自らの力で育て上げるしかありません。この教育法により、それらを1つずつ個別にではなく、トータルに育むことができれば、高い社会性や優しい心を獲得することができます。つまり、教育の目的を達成することができます。
思考力は、知性的に、客観的に、現実を読み解き、組み立て直し、理解するために必要な知的道具と言えます。たとえば、空間位置把握能力がないと、3次元空間に存在する現実のものを正しく見ることができなくなります。
人間はものを目で見ているのではなく脳で見ているので、自分の知性の空間・図形把握能力のレベルでしか現実を捕らえてしまうことがあります。
それ故、1次元空間把握能力しか発達していない場合は、言語も1人称でしか語ることができず、精神はエゴイスティックで自己中心的になりがちです。
能力を関連させながら高めていくことが、レベルの違うより高い能力を育てるポイントの1つです。
思考力は、社会という3次元関係の中で日々の行動と精神を作りあげていく人間にとって不可欠な能力といえます。そこで、学校教育の内容を学んでいくためにも、<理解するための基礎能力>というべき思考力が必要になるのです。